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令和3年 謹賀新年

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令和3年の幕が開きました。

世間はコロナ禍、落ち着かない日々が続いています。ですが、まずこれを書いている自分、そして読んでくれる方々が今日この日を生きているということ、そのことを何よりも寿ぎたいと思います。

さて、このブログを書き始めたのは今から7年前の12月ですが、その初期の頃、僕は「無常」と言う感覚について書いています。https://anosyaryo.exblog.jp/20559927/

去年の暮れ、年の瀬を迎えて僕は改めてこの言葉に思い起こしておりました。もちろん、それはコロナ禍が世の中にもたらした断絶とそれに伴う世情の変わりように伴うものですが、実はもっと大きなことがあったからです。

昨年、12月31日付で僕は勤めていた会社を退職しました。平成2年4月1日から30年9ヶ月の旅路の果て、です。

「50代は2回目の人生への成長期であってもまだ1回目の人生が続いています。実際、この僕自身も昨年は思いもよらないことが職場で起こり1回目の人生においては晩年という言葉を意識した苦い瞬間がありました。その意味できちんと1回目の人生に落とし前をつけるべき晩年も同時に追及していかなければならないな、そんな考えからあえて残照の風景を年頭の一枚に選んだのです。」

今年の年始の挨拶を書くにあたり昨年のそれを読み返したときに僕はこう書いていました。マニュフェストめいた文章にはなっていますが、この時点で会社を辞めることを意識していたわけではありませんでした。どちらかというと2回目の人生という考え方をどう昇華していくかに関心があったんだと思います。しかし、現実に生きていく中で優先されるのは、ぼんやりとした目的ではなく自分の目の前の仕事にどう向き合うか、です。

53歳という年齢は熱意の湧かない仕事を定年までの中継ぎと割り切るには若すぎですし、一方、それを将来の自身の成長へ向けた修行であると通過地点の一つとして思い直すには歳を取りすぎている。少なくとも1回目の人生の中では。少し先の人生を見据えたとき、そう考えました。

いや、それは理屈で帰納的に出したというより、感覚的に自分の人生航路において均衡が崩れた瞬間に思えたという方が正確かもしれません。同時に正に今のこの瞬間こそ1回目の人生に決着をつける機会が訪れたのではないか、そういった直感的が考えが心の中に湧いてきたのです。

そしてそうした思いが芽生えた以上、行動に迷いはありませんでした。年の初めには考えもしなかった転職活動を緊急事態宣言が解除された時期から開始し、最終的に年末をもって退職するに至ったのです。正に無常、去る年を振り返ってみて、この言葉の他に言うべきものはありません。

閑話休題になりますが、かつてベルギーにウーゴ・ブロースというサッカー選手がいました。今から35年前、メキシコW杯準々決勝、スペインとの一戦は2-2のまま延長でも決着がつかずPK戦にもつれ込みました。当初、監督のギー・ツイスが選んだ中に彼の名前はありませんでした。しかし選ばれた選手の一人が負傷を理由に辞退したとき彼はツイス監督に近づきこう話したそうです。

「監督、あなたが私のキックの正確性に懸念を持っているのは判っている。しかし私は33歳だ。ここは私に任せてくれないか。」準決勝進出が掛かっている中、誰をキッカーに選ぶか監督も選手も計り知れない重圧にいる中での発言、なんと歴戦の勇士たるものよ、本当の大人とはこういうものかとその言葉に接した時の印象は今も鮮やかです。そして彼のPKは成功しましたしベルギーは勝ち残って準決勝へ進出しました。

50代での転職はいわば人生のPK戦に臨むキッカーのようなものなのかもしれません。試合中のミスであれば残り時間でそれを帳消しにすることができるかもしれません、あるいは仲間がそのピンチを救ってくれるかもしれないですがPK戦は蹴ったボールが入るか否か、です。50代の転職も同じです。選手一人の力だけ、そしてそれを決めて当然という雰囲気の中での勝負になります。

転職するにあたりもちろん自分の能力を恃む自負は当然あります。というかそれが無ければそもそも自発的に転職など思いつかない。そうなると、恃むところは能力そのものではなく、外すかもしれないという不安感による迷いをどう克服するかではないか、そしてその気持ちの強さに想いを巡らしていく中で35年前の彼の言葉が蘇ってきたのです。かくありたいと。

今年の頭に選んだ写真は昭和62年の釧路湿原、その大地を飛翔する丹頂鶴です。千年の長命を得て飛翔を続ける伝説を持つ鶴。その鶴にあやかって新たな自分自身の旅立ちを鼓舞したい、そんな思いからこの写真を選択しました。

今年一年、皆様のご健康、ご健勝をお祈りするとともに、より一層のご指導ご鞭撻の程、お願いいたします。

道草人生拝







by michikusajinsei | 2021-01-01 23:13 | 北海道 | Comments(4)

Commented by シグ鉄 at 2021-01-02 17:55 x
おめでとうございます。
無情と無常、頼むと恃むにあやかり、私からもひとこと。
必死に生きて来た貴兄の今回の転職は必至だったと思います。
記念すべき節目での更なるご活躍を祈念しております。
Commented by michikusajinsei at 2021-01-03 11:59
シグ鉄さま、コメントありがとうございます。

暖かい餞のお言葉、本当にありがとうございました。緩みすぎることなく、さりとてまた締めすぎることもなく、新しい人生街道を歩いていく所存です。

今後ともよろしくお願いいたします。
Commented by 伊藤高史 at 2021-04-29 23:16 x
元気?
そろそろ新しい記事が読みたいです。
Commented by michikusajinsei at 2021-05-03 21:55
伊藤さま、コメントありがとうございます。

喘息持ちなんでコロナに当たったら大変ですから用心して過ごしているせいか、身体の調子はまずまずです。

ただブログは色々と思うこと、感じることはあるし、何回か書いていますがどうも纏まりません。とはいえ、このまま、何も書かないといよいよダメになりかねないんで、近日中に何か書いてみますね。