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平成2年 京阪電車(その4)

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標準化は避けて通れない話で鉄道に限らずどの産業もすべからず取り組んでいるが一方でそれに収まらない状態もまま存在する。

人間社会であれば体制と違う方向に進む、あるいは反抗するのは個人の信条によるところが大きいが、産業でそれが発生する場合は状況の産物でままそのような特異児ともいうべき存在が生まれてしまう。

鉄道界で言えば、それは新しい技術を取り入れる時であったり、あるいは需要予測などの想定外、あるいはそれに追いつかない事態にそのような車輌が生まれてしまう。

京阪電車でいえばこの写真の5000系がそう。本邦初の5扉車。これより扉が多い車輌も存在するがそれは編成に1両というように限定されているが、これは1編成全車両が5扉。

登場の経緯はなんでも施設の関係で1編成の連結両数の制約があり、一方で深刻化するラッシュ時の混雑があった。車内空間を広げることはできないけれど少しでも立席空間を大きくし、また乗降時間が短くなるようにという観点でこの5扉車が製造されたそうだ。そうであるからこの5扉が活用されるのはラッシュ時のみ。日中はそのうち2つの扉が閉鎖されそのスペースに天井から座席が降りてくる。このメカは京阪しかないが似たような試みで近鉄にラッシュ時はロングシートで日中は座席が転換してクロスシートになるL/Cカーというものが存在している。

一方東に転ずると山手線にはかつて6扉車というものがあった。これはラッシュ時は椅子が跳ねあげられ日中はそれが使えるが京阪のように椅子そのものが増えることはない。確かにラッシュ時には椅子がない方が良いという感覚も特に女性にはあるようだから開発の思想そのものが間違いとは思わないが、それでも居住空間の快適性の追求という観点では西の私鉄の取り組みの方が優れているように感じるのは否めないところ。

冒頭に、ユニークな車輌は状況の産物で人の意思の介在はあまりないようなことを書いたが、そうはいっても設計する人やその会社の思想がそこに反映するのは当然ある。

ラッシュ時の座席に関して東西の違い、この一点でも東西の考え方の違いが見て取れて、鉄道探求の世界は面白い。



by michikusajinsei | 2017-06-02 11:35 | 京阪電車 | Comments(0)