昭和62年 東武鉄道

ここのところ、電車の遅延に遭遇することが多い。
自分自身は特に気が短いということはないと思っているが、それでも乗れると思った電車、着けると思った時間に着けないストレスはどうしてもイライラした気分を催す。昨日の午前中もそうで昼飯前で空腹だったこともあったから遅れてきた列車にかなり不機嫌な顔をして横浜駅から乗車した。
そんなささくれ立った気分で窓外の景色をなんとなく眺めていて樹源寺の踏切をを過ぎた頃、東海道の線路を追いかけてきた列車が並走しだした。
189系の団体列車である。
確かに今となっては旧国鉄の生き残りで貴重な車輌ではあるが、だからと言って特に好きな車輌というわけではない。何時もだったら、一瞥をくれただけでそのまま関心を失ったんだと思うが昨日は違った。
冬の柔らかな斜光線が疲労の色濃い車輌を実に優しく包み、なんとも言えない気品というものを感じさせてくれていたのである。
そうなると現金なもので今までの不機嫌さは急速に消え、そのまま抜き去られるまで189系の疾走する姿を追いかけていた。
冬の斜光線、特に小春日和の関東地方で感じるそれは形あるものの表情を浮かび上がらせるものとしては屈指であると思っている。写真を撮っていると光そのものが主役であると感じることはよくある。夏や秋の日差しのようなドラマチックさ、春の日差しのキラキラした透明感。その場に出会うと鉄道情景ではなく光それ自体が主役のように感じられて言葉を失ったこともあった。
それに比べるとこの時期の斜光線にはそういう力強さはない。しかし不思議なものでこの斜光線で鉄道車輌を撮っていると、どの季節の光にも増してその車輌の特徴というものを鮮やかに浮かび上がらせてくれる。
この写真に映る東武のロマンスカー、DRC、1720系。151系のパーラーカー展望車に代表されるように広窓が隆盛を誇った新性能電車初期に東武伝統の狭窓で登場。伝統に囚われると窮屈になってしまうが、小気味よく並ぶ窓の列はそれはそれで優等列車の持つスピード感をうまく表している。何よりもその狭窓が並ぶ美しさが最も輝くのはこの時期の関東地方の日差しだった、今振り返るとそんな印象を抱く撮影である。
by michikusajinsei | 2017-12-04 12:17 | 東武鉄道 | Comments(0)

