昭和62年 養老線(その1)

一瞬、鉄道から離れて言うと旅をしたくなる心地には地名の語感もあると思う。旅には色々な目的があるが未知の世界を覗いてみたいという気持ち高揚が、やっぱり旅の醍醐味だし、見たことがない世界への想像はかなり地名の響きによるものが大きいんじゃなかろうか。
宮脇俊三さんも遠軽だとか音威子府といった北海道の地名をあげてその語感に旅情を掻き立てられると書いているが、これには全く同感で北海道には地名からなんとも言えない風情を醸し出す駅名が多かった。
それはアイヌ語に漢字を当てはめたが故に起きているのだろうが、表音文字に表意文字を当てる、ある意味、それは現在の日本語の原風景である大和言葉に漢字をあてて使われた萬葉がなへの共鳴が日本人としての自分の心に響いてくるためかもしれない。
母語というのは響きに郷愁を感じている言葉だと思う。
この写真は今の養老鉄道だが、養老という名前からして孝行息子が父親に飲んでもらう酒を探していたら滝の水が酒に変わった養老伝説の地を走る鉄道。その土地がどこにあるかがわからなくても、伝説の土地をめぐる鉄道ってどんな電車が走っているのだろうっていう期待が湧いてくる。
その養老線が走っているのは大垣から桑名の間、中京地区を縦断する近鉄の路線だが近鉄ネットワークはそのまま古代から近世までの日本の中心地、その時代に応じた盛衰が地名に象徴されている。線名を問わず近鉄に乗ると往時の風景をどこかに宿していないか、そんな思いで車窓を見るのが常だった。
by michikusajinsei | 2017-09-30 10:36 | 近畿日本鉄道 | Comments(0)



