人気ブログランキング | 話題のタグを見る

昭和62年 富山地方鉄道(その3)

昭和62年 富山地方鉄道(その3)_a0322896_06041803.jpg















鉄道会社に限らずどの会社も生き残るために如何に自分の会社の独自性をアピールするかに知恵を絞っている。というよりそれが会社を動かす原動力である。

これは会社に限らず人の営みということはつまるところ他と比べて如何に自分が魅力的かを誰かに伝えることであるし、その活動の裏表が僕たちの生活や性格を規定している。外面内面、着飾るのもそうでないのも、無意識のうちに自らの個性をそうやって発信している。

さて、そういった人の営みはともかく、会社経営という視点であれば、それが値段だったり便利さだったり、格好よさであったりと、その訴える手段がその会社の特徴を端的に表しているのだが、さて、鉄道会社の場合はそれはどうであろうか、というと異論はあるとは思うが僕は塗装、この一点に尽きると思う。

例えば全国組織で誰もが知っているが故にそういう自らの独自性を訴えることが希薄だった国鉄は、時期や一部の地方で例外はあるけれど電車の塗装はほぼ3つ。湘南色、スカ色、そしてピンクにクリームの交流色に集約されていたし、逆にそういう会社の色を大事にしていた私鉄各社は京急の赤、阪急のマルーンのようにその塗装それ自身をブランド化することまで行っている。

そうなるとしめたもので、多少カタチが不細工であったり、古くなって陳腐化してもそうは見させない魔力を発揮してしまうのだから電車のカラーというものは鉄道会社にとってはものすごく大事な資産であると個人的には思っている。

昭和62年 富山地方鉄道(その3)_a0322896_06041453.jpg
















そして富山地鉄。そうはいっても地方私鉄は鉄道を維持するのが精一杯なところが多く、わかっていてもなかなかそこまでできないのかもしれない中で、この鉄道の塗装は別格。

この2枚の写真、上の写真の車両が昭和30年製、下が昭和37年製と昭和62年当時としても、そろそろベテランの域にはいって更新を受けてこの塗装になっているのだろうが、そうなる時によくある厚化粧感を受けなかった。

何と言ってもこの配色デザインそのものがまずすっきりとしていてこざっぱりとした清潔感がある。またそれが故か、車齢が進んだ車両であっても不思議と古臭さを感じさせない軽快感、清冽さを抱かせる。特に文字通り出色といえるのはグレーの配色。これが地味であるがホワイトとレッドのの2色をまるで隠し味のようにうまく浮き立たせているのではないか、そんな印象を持っていた。




by michikusajinsei | 2017-03-08 06:54 | Comments(2)

Commented by pikorin77jp at 2017-03-08 10:58
昭和62年のお写真が凄く多いですね。 走っているデザインも そのまわりの風景も 凄くいいですね。旅情をそそられます。
Commented by michikusajinsei at 2017-03-08 18:54
ピコリンさま、コメントありがとうございます。

いや、そこに気づかれましたか。実は恥ずかしながらその年、僕は大学2年生の2回目、つまり落第していて時間だけはたっぷりありました。学費をだしてくれた親には申し訳ないですが、今、こうしてその時の写真を出していくばくかの共感を得られているとすれば、怪我の功名なのかもしれません。

そんな個人的な事情はともかくとして、若草が萌えはじめ水温み始めた時期の日本はどこにいっても本当に美しく、そんな時期にあちこち旅できたのは思えば幸せな経験でした。