人気ブログランキング | 話題のタグを見る

昭和61年 片上鉄道(その7)

昭和61年 片上鉄道(その7)_a0322896_07263850.jpg














数年前になるが竹村公太郎という元建設官僚の方が書いた「地形を見れば日本史がわかる」という本を読んだ。歴史を読む切り口は色々とあるが、これは唯物論的な発展史観を地形という切り口でまとめた本である。

そして非常に簡単に著者の主題を言ってしまえば、社会の発展とは人・物の移動する手段の整備とエネルギー源の確保にあり、それに関して日本の地勢はどのような影響を及ぼしまた治世者たちはその確保・改良に尽くしてきたか、ということである。

昭和61年 片上鉄道(その7)_a0322896_07274406.jpg















この本の白眉は最終的には江戸時代を超え昭和5年に完成するに至った荒川放水路に行き着く江戸の改造過程で、狸親父と呼ばれ食えない政治家の代表格である徳川家康の土木事業家としての隠れた一面とその構想を受け継ぎ発展させていった過程であるが、個人的に最も印象に残ったのは、燃料を基本的に薪炭に依存していた日本(実は日本だけではなく全ての旧世界は、が正しいそうであるが)は江戸の末期になるとその資源が枯渇し禿山だらけだった、というところだった。

北斎や広重といった浮世絵の大家たちが残した風景では緑が存外少なく、その理由は利用できる里山の木はすべて燃料として伐採されつくされたからだというのである。

この指摘は自分にはとても新鮮な考え方だった。何となれば自分が旅をしてある意味、退屈を覚えるほど親しみ、逆に言えば、それほど馴染んでいた風景が実は日本の原風景ではなかった、という事実にである。

そう原風景どころか明治大正ですらない昭和によって創造された風景だったのだ。

by michikusajinsei | 2016-10-23 08:08 | 同和鉱業 | Comments(2)

Commented by pikorin77jp at 2016-10-25 23:05
鉄道の歴史と 鉄道情緒を感じる本当に懐かしい写真ばかり。
そうなんですか、、、すでに廃線になっていたのですね。
こんな手書きのものがありました。 人の温もりを感じます。
Commented by michikusajinsei at 2016-10-26 23:37
ピコリンさま、コメントありがとうございます。

そう、この子供がてるてる坊主に書くへのへのもへじみたいな駅名、味わいがありますね。

駅というところは不思議なところです。どんな寂しい場所でも駅が見えるとホッとします。また望郷の年を掻き立てるところでもあれば未来への希望を見出すところでもあります。そしてまた、東京や大阪といった都会とのつながりを感じさせる場所でもある。

そこがなくなってしまうのは、住んでいる方々にとってとても残念なことだったと思います。