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昭和61年 京福電鉄

この日はどうも阪神ジェットカー流れの台車の修繕をしていたようだった。先に台車枠を載せたフラットカーの写真を出したが、車輪は別の場所にあった。車庫の中、別のフラットカーのうえで修繕を待っていたようだった。

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実はこの写真を載せるのにはためらいがあった。なぜなら見てわかる通り車庫に入り込んで撮影しているからである。

もちろん無断ではない。写真を撮っても構わないかと確認を取ってからの撮影である。とはいえ安全講習を受けたわけではないし、ヘルメットや安全靴を装着しての撮影ではない。それに何よりも職場で働いている方に対し、こちらは極楽とんぼを絵に描いたような学生である。何も知らない若造がいい気になって仕事場の撮影をしているわけだから面白かろうはずがなかったのではないか。

言い訳めくが、撮影している最中も遠慮の気持ちはあったし礼を失しない行動を若いなりに気をつけたことを覚えているが、それでも今から見れば暴走と言われても仕方がない行為であり、赤面するほかはない。

それでも恥をしのんでこれらの写真を公開する気になったのは、時折ありがたいコメントをいただくシグ鉄殿のブログで、この車庫が今となっては綺麗さっぱり影も形もなくなったことを知ったからである。
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自分も経験あるがかつて働いていた部署や職場が無くなってしまうのというのは切ないものだ。自分はこの写真を撮影した数年後にある会社に入り、幸いそれは今でも変わらないが、入社した時の配属先は不要な存在としてその数年後に取り潰されたし、若き日に働いた社屋も数年前に移転して壊されてしまい今はもうない。

無常といえばそれまでだが、やはり何か寂寥感を感じることはある。たとえ同じ社内の人間と話していても、初任部署が残っている、いないで感覚が微妙に違う。そして、そんな感傷を慰藉するのは年に数回、当時の先輩や同僚との飲み会だし、その席でお約束のように毎度、若き日の失敗談を披露される自分がいる。そう記憶には残っている。しかし、その頃、自分達が働いていた姿の写真など一枚もない。記録はないのだ。

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これらの写真は写した時は当然ながら車両が目当てであった。しかし偶然ながらこの車庫で働いている方の姿を撮していた。そしてまた普通の人は一般に自分の働いている姿など滅多に写真に撮られないし、そういった意味では自分が真剣に仕事に打ち込んでる姿を家族にみせる機会もあまりない。

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非常に可能性は低いが、このブログが当時、この車庫で整備に当たっていた方の目に止まり、責任と誇りを持って働いていた当時を思い出していただけたらと思い掲載することにしたのである。



by michikusajinsei | 2016-02-11 17:29 | 京福電鉄 | Comments(2)

Commented by 力也会長 at 2016-02-13 18:52 x
はじめまして!シグ鉄さまのブログからこちらの記事を紹介されて参りました。元えっち鉄社員の力也会長と申します。以前福井口にて勤務をしていましたので、京福以来の旧工場と新工場への過渡期を経験しております。 整備の厳しい職人さん達ですが、撮影当時の方も今なお新会社、新工場で頑張っています。私も勤務の合間によく罵倒されながら撮影したものですね(youtubeでrikiyakaityoでつたない動画をUPしております)。「写真か?すきなように撮っていきねの」と余裕こいた人もいました。私の脳裏にはまだ旧車庫が残っていますが、更地になったと聞いてにわかにまだ信じられない気分です。貴重な写真をありがとうございました。
Commented by michikusajinsei at 2016-02-15 19:59
力也会長さま、コメントありがとうございます。またシグ鉄さま、拙ブログを紹介いただいてありがとうございます。

本文にはそう書きましたが、まさか、しかもこんなに早くご関係された方に訪問いただけるとは思ってもおらず、感激すると同時に恐縮しております。まさに現場の方のお目こぼしで撮らせてもらった写真ですが、今にして思えば夢のような場所と時間でした。

それはともかく、当時の旧型電車の整備を担当された方が現在も活躍されているということは京福の精神がいまも息づいているのですね。

小生は、えちぜん鉄道になってからというより平成になってから一度も訪問出来ていないのですが、地方私鉄のしかも雪国の鉄道運営は大変なご苦労があるかと思います。その中で写真で見る現在のえちぜん鉄道の手入れの美しい姿は、古くて手入れの大変な車輌を故障なく整備し、また汚れの目立つ白系の車体を冬であっても綺麗に磨いていた京福整備陣の職人魂が健在かつ受け継がれていると感じておりました。そして今後も末長く、皆様がご活躍されそしてえちぜん鉄道が発展し安全に運行されることを願ってやみません。

末筆になりますが、事情があってインターネットに簡単に接続できる状況になく大変嬉しいコメントを頂戴しながらレスポンスが遅くなってしまったことをお詫びします。