昭和61年 北陸の電気機関車(番外編)

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僕が地方私鉄を撮り歩いていた昭和末期は私鉄で貨物列車を運行する時代ではなかったが、貨車そのものは残っているところもあった。ここは福井鉄道。

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福井鉄道は僕が訪れる前の昭和50年代に貨物列車の運行は止めていたが貨車はまだ残っていた。あるいは倉庫代用だったのかもしれないが、それらの場合、多くは足回りを外されてダルマ然とした姿になっていた。それに比べるとこの車輌らは当たり前だが鉄道車輌としての存在感は全然違う。

もっともこの写真を撮ったのは、そんな車輌自体への興味というより放置された古台車や車輪とこの休車然として貨車が並んでいる情景がいかにも地方私鉄の車輌工場の雰囲気を漂わせていて、それに感応して撮ったのだと思う。

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こちらは同じ福井鉄道の貨車だが保線用資材を積載しており、また車輌番号など様々な標記類もはっきりと描かれていて本来の用途ではないにせよ現役車輌として健在だった。

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一方、こちらは北陸鉄道。こちらは新製当時は筑豊で石炭の輸送に活躍したそうだが生涯の大半を貨車というよりは事業用車輌として線路の砂利を敷くために活用されていたそうで北陸鉄道もその用途で購入し使用していたそうである。

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とは言うものの、廃車状態の電車と一緒に留置されていたので自分が見たときは全く使用されているという雰囲気はなかったし、白状すればこの車輌のことは今回この写真を使うことを決めるまで忘れていた。それでもネガをスキャン後に「そういや撮っていたな」と独り言を漏らす程度には思い出しはしたが、30年前に既に放置されていた車輌である。とっくの昔に廃車解体されているだろうと思った。しかし念のため調べてみると、こんな地味な車輌が綺麗に化粧直しをされ保存されているそうだ。これには正直驚いた。

それらの資料によると大正3(1914)年の製造、古い車輌が残っていた北陸の私鉄の中でもおそらく当時ではもっとも古い車輌だったと思う。

意外なところに貴重な車輌が眠っていたのを今になって知った。

by michikusajinsei | 2017-01-12 23:00 | 北陸鉄道 | Comments(0)

昭和61年 北陸の電気機関車(その5)

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大正生まれの車輌が健在だったように、どちらかという古いタイプの車輌が多かった北陸の私鉄電気機関車だが、この車輌は比較的新しい。昭和29年の製造。

ただ製造年よりも、デザイン的に垢抜けない、要は溶接構造の箱型でリベットがなく車体長が短く視覚的な変化に乏しいというところが、当時の自分にとっては魅力が乏しくあまり興味を惹かなかった。まあ、せっかくだから写真を撮っておこうか、程度の気持ちで撮影した写真である。

ただ今の目で見てみると、デッキが付いていたり台車が電車用イコライザータイプだったりとなかなか癖がある外観をしている。

撮影した当時は没個性的だな、と感じたがよく見ると隠し味が効いている機関車。そんな風に言えるのかもしれない。
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しかしこの写真を見ていて今、気になるのは、背後の建築。木造としてはかなり大型のこの建物は住宅ではもちろんないが、倉庫なのかそれとも工場なのかなんとも判然としない。

そういった種別はともかくとして、このスケールの木造建築が一部朽ちかけているとはいえ線路際に並んでいる姿は壮観で今となっては、これもめったに見られない情景となってしまった。

by michikusajinsei | 2017-01-07 09:55 | 北陸鉄道 | Comments(0)

昭和61年&62年北陸の電気機関車(その4)

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この車輌は北陸鉄道の機関車。

車輌履歴的には昭和初期の製造になるが、昭和初期という初期モダニズムが一世を風靡した時代にしては少々前時代的な感じを受けていた。

それはある意味、当たっていてこの車輌は製造年こそ昭和10年代であるが車輌のデザインは大正初期に製造された南海電鉄の機関車をコピーしたものらしい。

のんびりした時代で旅客に使うものではないとはいえ、20年くらい前のデザインをそのまま採用してしまうのは同時代的な感覚からは如何なものかと思うが、それからさらに40年後の鉄道ファンにとっては、古典的な味わいを残した車輌が残ってくれていて嬉しくなったものである。
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さらに車体そのものにはあまり手を加えられていないが、正面の窓には凍結防止用のデフロスター、助手席にはその装備はないもののつらら切りようなのか金網が張られており一層精悍さを加えている。

同じ凸電でも福井鉄道のデキに感じたスマートさとは違い、北陸鉄道のこのEDクラスの機関車は南海電鉄という大鉄道のコピーでありまた当地で加えられた重装備も相まって男性的な力感がより強調されているように感じられないだろうか。

by michikusajinsei | 2016-12-30 12:31 | 北陸鉄道 | Comments(0)

昭和62年 北陸鉄道

a0322896_11303220.jpgこのブログを始めるまで北陸鉄道に旧名鉄の戦前派車輌が流れていたとは知らなかった。

いや北陸によく旅をしていた頃にでた季刊レイルに北陸の鉄道が特集されててそれを読んでいたから、知らなかったんじゃなくて読み過ごしていたって方が正しい。もっと本当のことを白状すると車輌にはあんまり興味がなかった。

その頃は客車列車の方が好きだったし、それに戦前製の電車なんてまだあちこちに健在だったからそれだけで珍しいということもなかった。特に地方に流れての更新車なんてのは原型の美しさがなくなってダサいと思っていたから何かストーリーがあったり特徴がなければただなんとなく撮っていただけ。そしてこの写真もそう。

でも自分がこの電車たちを撮った頃の車齢に近づいてきて思うのはストーリーよりもヒストリー。他人に語られるよりも自分の過ごしてきた日々そのものが大切だったなあってこと。そう思うと各種の改造もなぜそうなったかに想いを馳せると全盛期を過ぎても大切にされてきたんだなっていう歴史を語りかけてくれるような気がする。

気合も何も入れずダラダラと撮った一枚の写真だけど今となっては懐旧の情も湧くし、また思いがけないせつなさを感じたりする。



by michikusajinsei | 2015-12-06 12:02 | 北陸鉄道 | Comments(2)