平成30年 神奈川喫茶店逍遥(センターグリル洋光台店)

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関東地方の冬晴れはとても気持ちのいいものです。空気は澄んでいますし、日差しは柔らかいですから外は寒いとわかっていてもどこかへと出かけたくなります。年が明けてからの週末もそんな天気が続いていましたので、先週も先々週もお昼前には家を出ました。出かけるといっても半分は昼ごはんを食べるのが目的。なってたって土曜日の昼ごはんくらい人生でもっともリラックスできる時間はありませんからね。

少し前に友だちが「野毛のセンターグリルって評判がいいから食べに行ったんだけどそうでもなかったわ。」ってFacebookに投稿を上げてました。Facebookって見ているだけで普段はあまりコメントなんかしないんですが、その時は思わずしてしまいまいした。

「このお店は、お子様ランチがご馳走だった時代を思い出して味わうところだよ。いま風の感覚で味や雰囲気をどうこうするところじゃないと思います」と。

センターグリルっていうのは投稿の通り野毛に昔からある店、スパゲッティナポリタンの冷凍食品の監修をしたりして横浜では有名な店ですが、メリハリのはっきりしたインパクトの強い味が好まれる現代の風潮に合っている店ではありません。はっきり言って舌をまくといった美味しさとは無縁です。またメニューもフライやグラタン、カレーっていうごく普通の洋食しかないです。でも何ていうかそれらの料理を眺めて食べていると手作りの素朴感が溢れてくるようで、そんな雰囲気にファンが多い店です。

そしてその暖簾分けのお店が洋光台にあることを少し前に知って、じゃあそこに行ってみるかと横浜駅から根岸線で南下しました。

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もう何というんでしょう、入り口からやられてしまいました。ガラス戸にキュッと絞られた白いレースのカーテンですよ。昔のレストランや喫茶店では上品さを演出する装飾でよくありましたが見なくなって久しい。そのガラスにはエナメルっぽい塗料で描かれた店名に一昔前の食堂車を表す記号であったナイフとフォークの交差したイラスト。もうなんでしょう、生きています。昭和40年代って感じです。

静かな興奮が体内を駆け抜ける思いがしました。

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ところで、お店の看板にも描かれてますがセンターグリルといえば、本家もそうですがこの紋章のようなロゴマーク。本家の創業は連合軍による占領期。米国風って書いてあるのはその影響でしょうか。まあ、料理の味わいが米国風かどうかはともかく、このロゴマークはまさにアメリカン。

世界どこの国でも会社はシンボルマークを持っていますよね。日航の鶴丸だとか三越越後屋の丸越だとか。それらも優れていると思いますが、こと会社のシンボルマークに関しては平均値でもっともレベルが高いのがアメリカ。大赤字で大変なことになっていますが彼の国の名門企業GE、彼らのGとEのローマ字をくねらしたようなデザインなんてよく考えつくよなあ。他にもコカコーラなんかもローマ字のデザインで秀逸ですよね。これらは一度見たら忘れられませんもの。

鉄道会社のロゴもそうです。僕は少年の頃、アメリカの鉄道に憧れていましたが、その理由の一つはユニオンパシフィックだとかニューヨークセントラルといった鉄道会社のもつ企業ロゴのかっこう良さでした。

それはともかく、このセンターグリルのロゴ、開業当初からあったのかどうか知りません。でも開業したのは占領期です。そして当時の横浜中心部はほとんど接収されていました。

つい1年前に我が街を壊滅に追いやった相手に依存して生きなければいけない悔しさややるせなさはあったでしょうが、一方でその影響を吸収して新しい別の風俗を生み出す逞しさというものもあった。それはかたちだけみれば草の根から見たアメリカ文化の翻案化でしょうが、どんな文化もたちどころにそのエッセンスを和風の中にとりこんでしまう日本文化のしなやかさ、先人たちの心の強靭さというものを感じてしまいますし、それがあったからこそ壊滅的な状況からわずかな時間で復活する力強さがあったのだと本当に思います。

僕はこのロゴにそんな戦後という時代の一断面が息づいている、そんな風に思うのです。

(この項、つづく)

by michikusajinsei | 2018-01-27 19:24 | 横浜 | Comments(2)

Commented by シグ鉄 at 2018-01-29 09:35 x
アルファベットのロゴで私が最も好きなのは、Chicago ですね。
デカイCにgとoがつながっている面白さ。
日本のみ発売だったベスト盤”栄光のシカゴ”はこれぞアメリカって感じでした。
Commented by michikusajinsei at 2018-01-30 08:36
シグ鉄さま、コメントありがとうございます。

シカゴのロゴ、いかにもアメリカンな明るさ、伸びやかさ、踊りだしたくなるような雰囲気を掻き立てますね。でもそう思って聞いた曲調の意外な重さにギャップを感じた思い出があります。

レコジャケですとタイプは全く違いますが、スプリングスティーンの「ネブラスカ」が僕は好きです。列車の最後尾から写した荒涼とした大地、なんとも言えない旅情を感じて印象に残ってます。