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昭和61年 野上電鉄(その4)

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この車輌が阪急、というよりその前身の箕面有馬電鉄の1型として登場したときは木造車体に二重屋根。たしかにそれがそのまま残っていたらとんでもないインパクトがあり、誰も放っておかなかっただろう。しかし実車は阪急時代に様々な更新工事を受け、ある意味個性の薄い電車になっていた。いや個性の薄い電車という言い方はちょっと酷か。

典型的な昭和前期の田舎電車というか、短い車体長にちょっと腰高で3扉、もっさりという言葉がなんとなく似合う。そんな印象を得たのが正直な所である

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そう、確かに外見は野暮ったいが、一歩車内のに足を踏み入れ、その空間を見回すと別の感想が湧き上がってくる。

虚心坦懐にその造作を見れば、古典車輌の香りというものに満ちている。肌理の細かさが美しい木製の窓枠や座席端部、たおやかな曲線で造形された車内灯カバー、吊り革を支える細身の金具が形成する美しいトラス、そして仕切りが全くない客室と一体化した運転台。

冷たいステンレスパイプとのっぺりとした樹脂に囲まれた現代車輌とは対極にある生の素材、手作りの味というものが横溢していると言ったら褒めすぎだろうか。

by michikusajinsei | 2017-08-02 12:16 | 野上電鉄 | Comments(0)