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昭和62年 室蘭本線

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北海道、この言葉を口にするたびに僕は同時に二つの言葉を頭に思い浮かべる。

その言葉「可能性の大地」そして「未完の大器」
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僕は決して開発至上主義者でないが、あの雄大なそして適度に人の手が入った大地の整然とした美しさと対象的に人を寄せ付けない深さの森や人家が朽ち果て原野に戻っている風景をみるたびに厳しい自然環境の中で先人が築き上げて実現した夢と挫折し未だ次の夢が思い描けない溝に思いを馳せ粛然となることがある。

自然だけではない。社会もまたそうである。山田洋次監督の「家族」

高度経済成長末期である昭和45年の日本のある断面を描いた傑作。閉山する九州の炭鉱夫一家が未来への望みを託して北海道の酪農農場に移住する旅を描いたロードムービー。不安と悲しみに彩られた旅路のエピソードがいくつもつらなっていく。ほんの少しだがあの時代を知っている人間として何度も目頭が熱くなるのを抑えられない場面が出てくるが、最後は移住先の中標津で将来への希望を暗示する場面で終わる。

いよいよ明日、北海道に新幹線が上陸する。開通前からJR北海道の運営体制や思ったほどでもない時間短縮効果に対して冷めた声がかなりあるように思う。しかしこの可能性の大地に新幹線がどんな歴史を刻むのか、それはそれで期待し応援したいと思っている。
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とはいえ、ファン的には新幹線よりは在来線である。北海道の開発の歴史、そして産み出されてきたその豊かさを運ぶ大動脈であったのが昭和の鉄路である。

僕は北海道に行きたかったのは、もちろん雄大な風景に憧れてであるが、列車で言えばなお国鉄黄金時代の残り香を感じさせた長大編成からなるディーゼル特急と貨物列車である。とりわけ無骨な外観のDD51が牽引する貨物列車に大いに魅了されていた。
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それほどたくさん北海道を旅したわけではないが行くと必ず立ち寄ったのが、ここ室蘭本線沼ノ端。広漠とした原野に続く長い直線区間に本領発揮とばかり駆け抜けていく列車群はいつ見ても飽きなかった。

今回のDD51はその中で国鉄最晩年の頃の姿である。

by michikusajinsei | 2016-03-25 21:00 | 北海道 | Comments(0)